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ヨガの取り組み方②<なぜポーズはイイのか?>

 前回『ヨガの取り組み方①』では、まずは自覚的に練習することで『三密』を心身にわからせることの重要性について述べました。

 今回は『なぜポーズはイイのか?』ということを念頭にヨガの取り組み方について述べてみます。

 

 

 

<ポーズをやるとどうなるか?>

 一般にヨガのイメージは『ポーズ』ではないでしょうか。そしてそれが美や健康につながるのだと認識されていると思います。

 確かに、ヨガは健康や美をもたらしますし、三密でやればそうなります。

 そこで、ポーズをやるとどうなるかということについて、沖正弘先生著『ヨガ行法と哲学』(p172~173)より簡単にまとめてみます

1.体の働きを整えて心理的、生理的な変化を導く

2.未発達部、未使用部を刺激して全身の調和発達をうながす

3.心理、生理、解剖的な不正使用によって生じた体の歪みをなおして、生体の働き偏らせる傾向を取り去る

4.働く時には、全筋肉が統一して緊張し、休む時には全筋肉がゆるむような、力のかたよりのない自然体をつくる

5.使った部分は休め、使わぬ部分は刺激する

つまり、

生命の働きを整え、生命の働きを呼びおこし、たかめることである

 

というふうにまとめられています。ポーズをやることで

 

生命の働きが整い⇒生命の働きが呼び起こされ⇒生命の働きが高まる

 

 

 

のです。 

 

 私も実際にポーズの取り組むことによって、精神の病とお薬の服用を克服することができました。生命の働きであるところの自然治癒力が呼び起こされてバランス状態を取り戻すことができたのです。

 

 

<ポーズの目的は単に健康だけではない>

 ポーズをやると心身がスッキリしますし、ちょっとした不調なら修正することも可能です。私に関しては約7年間苦しんだ精神の病とお薬の服用が克服されたのですから、健康に良いことは体感的に良くわかります。

 ただ、私がポーズに感じる魅力というのは、健康効果にとどまりません。そこには最大にして最高の学びがあるのです。これはポーズの取り組み方と非常に関係が深いので、以下取り組み方を観ながらその学びについて考えてみます。

 

<ゆっくりと丁寧に行う>

 ポーズをやるときには、完成形を大雑把にパパッと真似てみるよりも、そのプロセスひとつひとつをゆっくり丁寧に進めることをオススメします。なぜかと言う問いには次の項目でお答えします。

 ポーズにせよ日常の動作にせよ、様々な動作や意識等の積み重ねが連続していて、それが流れとしてポーズや日常動作になっています。そしてそれらの動作はその各動作の積み重ねが合理的に流れるときにスムーズになり、合理性を欠くと腰痛や肩痛など体の不調やそれを契機に心の不調も招きます。

 何が正しくて何が間違っているかを自己診断できるようにするために、つまり生理的にも心理的にも整えることができるようにするためにゆっくり丁寧に行います。

 

 

<動作中の感覚を感じ・観じる>

 『感じ』というのは動作中に起こってくることをあるがままに受け取ることです。『観じ』というのは、その感覚について観察し意味を理解しようとすることです。この二つにしっかりと取り組むために、ゆっくりと丁寧に行い、微細な感覚も逃さないようにするのです。

 

 

<どうしたら整うかを求めよ!>

 「あぁ、こういう感覚があるなぁ~」というふうに感じたら、「この感覚は○○の位置をもう少しずらしてポーズに取り組んだほうがちょうどよさそうだ」とか「うん、この動き方だと整うなぁ~」というふうに観じて自分で微調整することを色々と試してみるのです。

 解剖生理的に合理的なやり方の『型』はあるでしょうが、ゆがみや偏りは千差万別です。それは各個人の送っている日常生活が全て同じではないからです。どうしたら整うかを本当に知っているのはゆがみ偏りのつくり主である自分であることにほかなりません。

 

<答えは全て自分の内にある!>

 ゆっくりと丁寧に行うことで起こってくる感覚をよく感じ・観じ、そこに自分自身のゆがみ偏りを見い出して試行錯誤の末に修正法を自分の内に見出せるように取り組むことを強く求めながらポーズに取り組んでください。自分自身が教科書であり問題集であり解答解説集です。前回のブログでも述べたように、心身は

 

●呼吸が楽で

●脈がととのい

●気分が良い

 

という感覚でその解答解説を提示してくれます。

 

<ポーズの価値は『気づき』にあり>

 感覚は生命からのメッセージです。生命が「もっと○○してほしいなぁ~」と自分自身へより良いバランス状態を望んでいるということです。ポーズをするときはこのことに気づいてあげて下さい。それは感覚とひとつになる作業でもあります。その感覚に成りきらないと、生命からのお知らせを正確に把握・理解することはできませんからね。

 生命の源泉であるところの感覚とひとつになるということは、これ以上ないバランス状態になるということであり、ヨガの意味である『結び』そのものであるということなのです。

 この『気づき』バランスとの『結び』自然体の獲得自然法則との一体化を実践的に学べるところに、ポーズの最大にして最高の価値があると思います。